ユニバーサルデザインフードに適した容器包装のあり方については、容器包装研究会が中心となり審議を行っています。
研究会では「ユニバーサルデザインフード自主規格第1版」において懸案として記載された「容器包装の設計配慮事項」について、自主規格分科会からの要望を受け、具体的なユニバーサルデザインフード容器を規格化することを目的に平成15(2003)年度以降、検討を重ねてきました。
自主規格中の「容器包装の設計配慮事項」には、「日本工業規格JIS S 0021 高齢者・障害者配慮設計指針--包装・容器」及び「同JIS S 0022 高齢者・障害者配慮設計指針--包装・容器--開封性試験方法」等を参考にすることが記載され、設計配慮事項の5項目として掲げています。
- 開け口、開封部の場所を識別しやすくするための配慮事項
- 内容物の識別をするための配慮事項
- 同一または類似形状の包装・容器の内容物識別のための配慮事項
- 開けやすくするための配慮事項
- 握力が低下した使用者においても使いやすい容器の形状
以上のように、容器メーカーおよび実際に商品を供給する食品メーカーの立場から、比較的実現可能と考えられる優先事項の1「開封部の識別をし易くする」の規格化について、市販用ユニバーサルデザインフードとして多くの商品がある「パウチ」に対してこれを進める意向が確認されました。
一方、開封部識別表示は既に食品メーカー各社で実施しており、協議会の提示する案を新規に採用するには、同案の有用性の立証が不可欠との指摘が普及委員会よりあったことから、表示案としてあげられた3案について、利用者アンケートを実施し(平成20(2008)年3月)、この結果、有用性の認められる下記矢印マークを抽出した。
研究会では同案の表示について「設計配慮事項」(表示義務を伴わない)として自主規格に盛り込むことを前提に、会員企業に対して本案への意見を求めたところ、マークに付帯する文字表現としては「あけくち」の他に「切り口」も多く使われていることがわかりました。これらの文字表現については、各社商品のユーザーからの意見を反映したいわば「社内規定」としての運用となっているため、ユニバーサルデザインフード商品のみについて文字表現を変更することは困難であるとの意見も寄せられたことから、文字表現については明確な規定を設けず「自主規格第2版」に盛り込むこととしました。
同「開封部マーク」についてはユニバーサルデザインの観点から「ユニバーサルデザインフードの特徴」の一つとして、ユニバーサルデザインフード商品が「見やすい開封部表示を行っている」点をアピールしていくものです。