平成19年9月14日(金)〜15日(土)大宮ソニックシティ(さいたま市)にて開催された、第13回日本摂食・嚥下リハビリテーション学会学術大会企業展示ブースに参加した。
本協議会では今回は「企業展示」および「ポスター発表」に参加した。
同学会では、摂食・嚥下に関する口演、セミナー、ポスター展示、企業展示といった催しが開催されている。参加者数は2日間で延べ約3,900名(主催者発表)となっており、前回とほぼ同程度であった。来場者は医師、歯科医師、言語聴覚士、栄養士、看護師、病院関係者、大学関係者など専門家で占められた。
企業展示には計70社が出展しており(前回62社)、協議会は協議会ブースおよび協議会員(関連)企業9社(明治乳業、ホリカフーズ、和光堂、マルハチ村松、キユーピー、フードケア、ハウス食品、ニチロ、日清オイリオ(日清サイエンス))が参加した(前回11社)。主催者によると、企業展示については申し込みが多数となり参加を断念していただいた企業もあったとのこと。
今回は協議会ブースにて協議会員企業製品の展示・区分表パネル展示、パンフレット(約500部。区分選択のためのリーフレット、ユニバーサルデザインフード商品問い合わせリーフレット)配布を行ったほか、現在、自主規格分科会にて検討を行っているとろみ調整食品を表現するモデル食品についてのアンケート調査を行ったため、2小間のスペースを確保して臨んだ。このアンケート調査は、1〜5の堅さにあらかじめ調整した検体を被験者に体感(みための比較やまぜるなど)してもらい、それぞれがどのようなモデル食品に該当するのかを主観で回答いただく方法で行った(アンケートは当初の予定数を越える250超を回収している)。
ポスター発表については、前回の同学会にて口演を行ったテーマ「市販とろみ調整食品のとろみ表現に適した食品の選択について」の経過を引き続き報告した。ポスター発表には事務局があたった。
今回行ったポスター発表の要旨を下記に記しておく。
【市販とろみ調整食品(とろみ剤)のとろみ表現に適した食品の選択について】
(1)背景・目的
市販のとろみ調整食品には、消費者自身がとろみを調節できるよう、添加量の目安とそのとろみ状態が記載されている。とろみ状態は実際の食品を引用し、例えば、「水100ccに対し、3グラムでヨーグルト状」というように記載されている。とろみ状態を表すために用いられる食品(以下、モデル食品と呼ぶ)は製品間で必ずしも統一されておらず、さらに、モデル食品の中には、消費者が共通のとろみ状態をイメージしにくいものもあり、改善の余地があると考えた。我々は、前回の嚥下リハ学会において、テクスチャープロファイル分析から得られる「かたさ」と「凝集性」の二次元マッピングの結果、モデル食品として、とんかつソース、コンデンスミルク、ソフトヨーグルト、ケチャップが適当であることを報告しているが、今回の検討では、とろみ表現を幅広く補完できるようにモデル食品を追加することと、更に、選定したモデル食品が、実際のとろみ状態と官能的に一致するかどうかを検証することを目的とした。
(2)モデル食品の追加
今回の検討では、ここに示す13品目、41種類の食品についてTPA測定を行い、前回と同様、「かたさ」と「凝集性」の二次元マッピングを行った。結果、物性のばらつきが比較的小さく、更にとろみ調整食品の物性に近い(凝集性が0.7-0.9の範囲にある)食品として、シチュー、デミグラスソース、トマトピューレ、ピザソース、トマトソース、ホワイトソースが挙げられた。前回の結果と合わせると、この表に示すモデル食品を用いることで、幅広い「かたさ」の範囲でとろみ状態を表現できる。
(3)官能評価との関連性
選定した各モデル食品の妥当性として、モデル食品の物性イメージがとろみ調整食品と官能的に一致するかどうかの検証を行った。市販のとろみ調整食品を用い、ここに示す(Ⅰ)〜(Ⅴ)の5区分に「かたさ」を調整し、各モデル食品のとろみ状態を表すのに最も適当と思われる試料を、みためやかき混ぜたときの感覚をもとに、提示した5つの試料の中から1つ選ぶという方法を採用した。介護食品協議会内におけるプレアンケートの結果、いくつかのモデル食品で物性測定と官能評価の結果が一致し、妥当性が示唆されたが、完全に一致しない食品もあったため、更なる検証が必要であると考えた。
(4)まとめ
今回の検討で6品目を追加し、計12品目のモデル食品を選定。モデル食品の妥当性を官能評価から検証中。
(5)課題
とろみ調整食品を実際に利用している方々を対象に更なるデータの蓄積を図ることで、最適なモデル食品を選択し、製品の利便性改善につなげていく。介護食品協議会のブース(#53)にて、今回の検討と同様のアンケートを実施している。