1.普及啓発事業
基本方針
一般消費者および栄養士・管理栄養士、訪問看護師、言語聴覚士、ケアマネージャーなど各関連職種に対して、ユニバーサルデザインフードおよび本会の周知徹底を図る。
昨年度に引き続き「UDF(ユニバーサルデザインフード)の日」等記念日を活用した事業、都営地下鉄線による年間を通じた交通広告、公式LINEなどSNSを活用した事業等を実施し、介護従事者並びに在宅方面への情報伝達を積極的に進める。
ホームページやパンフレット等の啓発ツールについて掲載情報の更新などを継続する。これらを催事等の機会に配布・活用し一層のUDF普及啓発を進める。
(1)記念日を介した普及活動について
「7月11日はUDF(ユニバーサルデザインフード)の日」や「11月11日は介護の日」を契機とした普及活動を実施する。趣旨としては、利用者やその家族等を応募者に見込み、UDFサンプルやパンフレット、小冊子等をプレゼントすることでUDFの認知を促進することにある。
「UDFプレゼントキャンペーン」として、今年度は公式LINEを積極的に活用し、「UDFの日」および「介護の日」を契機にそれぞれ1か月間のUDF啓発事業を計画している。対象者は前年度に引き続き、在宅介護者層のみならず、将来の需要を見込んだ幅広い世代とし、生活者全般への認知率の底上げを図ることを目的とした施策を実施する。
1)実施手法
プレゼントキャンペーンの賞品として、今回は「UDF製品詰め合わせ(会員企業協賛)」および「電子ギフト(PayPayやAmazonなどで使える500ポイント分)」に加えて、あらたに「介護支援券(Amazon)」を活用する方向で検討を行っている。介護の中心世代である30歳代~50歳代を中心に、幅広い年代からの応募を見込み、本会ホームページやSNSを通じたターゲティング広告等からの告知を通じてキャンペーンへの参加・応募を誘導する。賞品については、応募者が当選の際に各賞品を有効に活用できるよう、コース選択方式を採用する。このような施策により、前回に比較して一層の応募者増加を見込んでいる。
2)LINEをフル活用した誘導
キャンペーン開催にあたってこれまでは、本会ホームページにランディングページ(LP)を設置し、同ページにUDF啓発情報などを掲載しながら応募者を公式ラインへ誘導する手順を採っていた。今回の両キャンペーンの特徴は、公式LINEをLPに代わるツールとして活用し、この中でUDFの啓発や応募、抽選、情報収集(アンケートなど)を完了させる。このように、キャンペーンを通じて公式LINEへのアクセスを容易にすることで、参加者にとって応募完了までのストレスを低下させ、離脱者の低減を図っていく。これらの手法を通じて、UDFに対して関心の高い層を、今後の情報発信対象者である「友だち」として増加させることを見込んでいる。
- ① LINE認証システムの活用
キャンペーン応募条件に、本会公式ラインへの友だち登録を組み込む。このことで、本会LINEの友だち数の増加も併せて図っていく。 - ② ターゲティング広告
消費者の検索ワードや検索履歴に紐づけ、「UDFの日」、「介護の日」各キャンペーンの告知を行うバナーの掲出をSNS上で行い、キャンペーンを告知する(GoogleおよびSNS(Facebook、Instagram、LINE)を使用)。 - ③ LINEスタンプの活用
「UDFの日」キャンペーンでは、公式キャラクター「かいごちゃん、ささえちゃん」をモチーフとしたLINEスタンプを作成する。同スタンプのダウンロードについても、公式LINEへの登録の動機となることを見込み誘導を図っていく。 - ④ プレスリリース配信
本キャンペーンのプレスリリースを、プレスリリース配信ツールを使って配信し、より多くのメディア(Web、雑誌などの媒体)に対して、本取り組みについての記事掲載を促していく。
(2)ユニバーサルデザインフードの年間を通じた啓発活動について
UDFならびに「7月11日UDFの日」を啓発するため、年間を通じて下記施策を実施する。
1)都営地下鉄ヘルプマーク・タイアップ広告
幅広い世代へのユニバーサルデザインフードの啓発を目的に、都営地下鉄優先席(妻面)に掲出される「ヘルプマーク啓発広告」との相乗り広告によりUDF啓発を実施する。
- ① 使用媒体:都営新宿線28編成中1編成分(10両編成)を使用(乗降者数や乗り入れ距離からこれら路線を選択。各車両の優先席妻面部分1か所、合計9か所にポスター掲出。
*6年目の継続実施。 - ② 実施期間:1年間(令和6(2024)年4月より運行開始)
2)LINEを用いたUDF啓発活動
生活者の間で広く利用されているSNSツールよりLINEを選択し、本会公式として運用を開始した。4年目となる本年度も、これを用いてUDFの啓発のための情報発信を継続実施する。本ツールについては、家族間での連絡ツールとしても一般的に利用されていることから、介護の情報に対しても親和性のあるツールと見込んでいる。
- ① 使用媒体:LINE*に開設した本会公式アカウント
(*スマートフォン等で使用するアプリケーションツール) - ② 実施期間:1年間(継続実施)
- ③ 実施内容:UDFの日や介護の日キャンペーンの告知、UDFに関する情報提供等(会員各社製品、UDF製品のアレンジレシピ等の情報配信を計画中。隔週で情報提供を行っていく)
- ④ 効果測定:情報配信者数(友だち)の獲得を目的とし、これらを増加させる(4月現在約23,000人・前年同期比920%)
(3)訪問看護ステーションを通じた在宅介護世帯へのUDF啓発活動
過年度実施した訪問看護ステーションに対する調査結果から、訪問看護を利用する在宅介護世帯は、訪問看護師を介して食支援や指導などのサービスを日常的に受けていることがわかった。このことから、在宅介護現場へ効果的なUDFの活用提案が可能な職種として訪問看護師の存在感が増大した。
これを受け、昨年度は訪問看護師に対して、有識者を通じた在宅での食事介護手法の伝達と、UDFの活用に関する啓発セミナーを実施し、聴講者が所属する訪問看護ステーションを通じた在宅へのUDFサンプリングを行った。この結果、在宅においてUDFの購買行動につながる動きも見られるなど、訪問看護師の在宅における高い影響力が検証される結果となった。
そこで今年度は、昨年度に引き続き訪問看護師のUDF認知を一層上げていくことを見込み、下記のような施策を継続実施することとした。
1) Webセミナーの実施
訪問看護師に影響力の高い講師を選択し、Webセミナーを実施。訪問看護団体からの推奨情報として発信するなどの工夫も加え、多くの訪問看護ステーションおよび従事者に対して同セミナーへの聴講と内容の実践を呼び掛けていく(同Webセミナーは一定期間アーカイブ配信を実施する見込み)。
2) UDFサンプリングの実施
主に、セミナーを受講した担当者が在籍する訪問看護ステーションに対して、UDFサンプルの活用を案内。意欲のある同ステーションを選抜し、事業所内での勉強会開催を支援し、UDFに対する理解を一層深めてもらうよう働きかけを継続していく。UDFに対する意識の変化などについて、アンケートやインタビューを実施し、効果検証を行いながら今後の周知活動のステップアップを見込んでいく。
(4)ホームページの活用
必要に応じた掲載内容の更新および、(1)(2)事業から閲覧者の誘導を図るなど、ホームページを介した一層のユニバーサルデザインフードの認知向上に努める。
1)各ターゲット層への有効な情報発信
- ① 「日本介護食品協議会について」など必要に応じた掲載内容の更新。
- ② 「商品のご案内」ページを活用し、新商品等の情報を積極的に掲載し充実を図る(UDF申請登録システムとの連携を図り、申請製品を漏れなく掲載できるよう努める)。
- ③ 施設従事者向けページ(業務用)の更新を継続し内容を充実させる。
- ④ 「リンク集」について、関係団体等への相互リンク掲載の整理・掲載数の拡大を図る。
- ⑤ 組織強化事業の一環として、「缶詰時報」掲載の「日本介護食品協議会コーナー」をホームページに掲載し、関連企業へ情報を発信する。
(5)ツールを利用した積極的啓発活動の実施
1)本会パンフレットの等啓発資料の新規作成・更新・配布
市販から業務用の各利用者へ周知を行うための資料の作成等を行う。本会パンフレットや「食べる力のサポートブック」など既存パンフレット等を必要に応じて改訂・増刷し、学会・展示会・勉強会などを通じた配布により積極的に情報発信を行い、ユニバーサルデザインフードの一層の周知を図る。
2)管理栄養士など専門職への情報伝達
- ① 業務用ワーキンググループの活動
介護施設に従事する管理栄養士・栄養士等専門職に対して学会や催事、調査資料、セミナーなどを通じて施設等でのUDF活用によるメリット(省力化、コストカットなど)を伝え、業務用での一層の活用を啓発する。今年度は、学会・催事へ出展し、昨年度新規作成した資料「UDFを使用したペースト食の新調理法 加水ゼロ式調理法」や、過年度に作成した「災害時UDF活用サポートブック」の内容を引き続き啓発することを見込んでいる。 - ② 在宅方面へのユニバーサルデザインフードの啓発・浸透
本件は本会設立以来の課題となっている。在宅被介護者への接触機会の多い職種として、訪問歯科医師、訪問歯科衛生士、訪問栄養士等を取り上げ、これら職種へのユニバーサルデザインフードに対する理解を一層深めながら、在宅方面への啓発・浸透を目指した活動の継続実施を検討する。
今年度は、昨年度作成した在宅でのUDF活用フローチャート(改訂版)を、訪問看護師に対する啓発活動(事業(3)に記載)に活用し、在宅現場でのUDF紹介ツールとして活用を促していく。
3)メールマガジンの活用
容器包装研究会が発案した同媒体について、UDFに関連する容器包装情報に加えて、事業経過や委員会活動、内外の講演会(催事)等の情報を月一回を目安に配信し、会員によるこれら情報の有効活用を促していく。
4)「缶詰時報」の活用
「缶詰時報・日本介護食品協議会コーナー」にて日本缶詰びん詰レトルト食品協会会員企業等に対して、本会活動およびユニバーサルデザインフードの一層の認知を図る。
5)プレスリリースの配信
本会活動とユニバーサルデザインフードの一層の周知および会員企業増加に資することを目的に、加工食品業界および一般新聞等各種メディアに対して、積極的に本会の活動状況やUDF生産統計情報など本業界関連の情報提供を行う。さらに、会員企業の発行するプレスリリースも活用し、これら情報提供機会の増大を図る。
(6)学会・展示会等への積極的参加
本年度は、一般消費者をはじめ、管理栄養士・栄養士、訪問看護師、言語聴覚士等の関連職種へのさらなる啓発を目的に、下記の催事に出展する。
1)第30回 日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会
期日 令和6(2024)年8月30日(金)・31日(土)
会場 福岡国際会議場(福岡市)
参加内容 UDF商品の紹介、パンフレットの配布等を実施する。
2)第40回日本栄養治療学会学術集会(JSPEN 2025)
期日 令和7(2025)年2月14日(金)・15日(土)
会場 パシフィコ横浜ノース(横浜市)
参加内容 企業展示に出展し、栄養士等の専門職に対してUDFの効果的な啓発を行う。
3)メディケアフーズ展2025
期日 令和7(2025)年2月26日(水)~28日(金)
会場 東京国際展示場(江東区)
参加内容 企業展示に出展し、パンフレット、サンプル等の配布、UDF製品の試食を行う。他、セミナーを実施して栄養士等の専門職に対して効果的な啓発を行う。
この他、必要に応じて他催事等への出展・協力を検討する。
(7)地域開催勉強会等への参加・協力
ケアマネージャーや介護士、ヘルパーなどの介護関連職種や、大学等研究機関、社会福祉協議会等からの勉強会開催や資料・サンプル提供などの依頼を通じて、多方面へユニバーサルデザインフードの情報の発信を継続していく。
2.技術関連事業
基本方針
ユニバーサルデザインフードの普及を支える規格や科学的データの充実を図り、分かりやすく、利用しやすいユニバーサルデザインフードにする。
また、産学におけるユニバーサルデザインフードの研究を引き続き実施しながら本業界でのユニバーサルデザインフードの価値を一層高めるよう努める。
(1)ユニバーサルデザインフード自主規格補完のための研究活動
ユニバーサルデザインフード自主規格の懸案事項の解決に向け、本年度は以下のテーマについての研究を、必要に応じて学術機関や有識者等と連携を図りながら行う。これら研究の成果については、本会会員企業が等しく参照・共有できるような形をもって作成し、今後、会員各社がこれを利用することで、ユニバーサルデザインフード製品の一層の信頼性を確保していく。
自主規格のブラッシュアップとUDF品質向上のための取り組み
本会では、官能評価会の実施やUDF登録申請方法の刷新、物性測定方法事例の作成など、これまでにも多くのUDF品質向上のための取り組みを積極的に行ってきた。一方、近年ではUDF登録製品や会員企業数の増加も顕著であり、今後これまで以上にUDFの信頼性向上を図るための取り組みへの必要性が高まっている。
このような環境において、会員各社における品質管理方法や物性測定方法など、UDFの品質確認と信頼性確保に直結する部分において、新たな仕組み構築の検討を行う。これにあたりまずは、会員企業に対して日常の品質管理方法等についてヒアリングを行い、現状の確認を行っていく。
本事業については、UDF信頼性向上WGが検討を行う。
(2)学術強化事業
ユニバーサルデザインフードに関する技術の向上には、会員各社担当者の本分野に対する理解と専門知識の取得が不可欠である。このため、本事業では開発担当者等のスキルアップを目的に、対内的な各種の学術的企画を計画、実施する。また、対外的なユニバーサルデザインフードに対する信頼性向上を図るには、有識者や関連職種へUDFの有用性を伝達し理解を獲得していくことが不可欠である。このため、UDFに対するエビデンスを収集し、学術大会や学会誌等に対してUDFの特性に関する積極的なアピールを実施していく。
さらに、これらの目的に資するため、当該分野の専門家や有識者との関係の構築・維持・強化を図る。
この趣旨から以下の事業を本事業に包括して実施する。
1)共同研究の実施
フードスタディ勉強会を契機に取り組みを開始した、愛知学院大学との共同研究を継続する。同学教授牧野日和氏の指導により、UDF区分の官能的面での評価方法を確立する。これにより、UDFと学会分類との親和性を高めると同時に、給食現場でのUDF活用の動機を高めていくことを目的とする。最終的には、本研究で得たエビデンスについて論文にまとめ、学会誌へ投稿する。
また、実践女子大学との共同研究を継続する。同学准教授中川裕子氏とともに、ユニバーサルデザインフードにおける官能面および物性面での関連性の検証ならびに物性測定方法の検証について深めていく見込み。あわせて、中川裕子氏が進めるUDFに関する研究活動へも協力を継続する。本年度は、第30回日本摂食嚥下リハビリテーション学会にて「ユニバーサルデザインフードの官能評価および咀嚼筋活動測定による食べやすさの評価」のタイトルにて一般演題として発表が予定されている。
この他にも、UDFの優位性、有用性を検証するため、関係の深い大学や研究機関との共同研究を計画・実施する。
本事業については、技術情報発信WGが検討を行う。
2)勉強会等の実施
会員企業やユニバーサルデザインフードの発展に寄与するため、関連の深いテーマについて専門家や有識者を講師とした勉強会を計画・実施する。
昨年度に引き続き、素材メーカー等による勉強会やフードスタディ勉強会、物性測定勉強会、中間報告会に合わせた講演会、官能評価会などの開催を見込んでいる。
本年度は、愛知学院大学教授牧野日和氏の指導のもと、「第2回フードスタディでUDFを知る試食会」の開催を12月12日(木)に予定している(フードスタディ勉強会としては4回目の開催)。ここでは、参加者のフードスタディに関する知識習得の他、官能評価データの収集も見込んでいる。
本事業については、スキルアップWGが検討を行う。
(3)研究成果等の外部へのPR活動
技術委員会で検討した研究テーマについて、その成果を学術大会や学会誌、学術誌等を通じて発表し、ユニバーサルデザインフードおよび本会の技術的活動面について関連組織、研究者、企業等へアピールする。今年度は、(2)-1)共同研究事業の成果について、愛知学院大学・牧野日和氏に論文作成を依頼し、学会誌への投稿を見込んでいる。
(4)容器包装に関する規格化の検討
設計配慮事項となっているユニバーサルデザインフード容器包装について、具体的な容器要求性能の内容及び規格化の可能性を検討する。
昨年度より開始したメールマガジンの活用を継続し、食品メーカーに対してUDFに資する容器包装に関する情報を定期的に発信していく。
その他、食品メーカーや利用者に有用な容器包装に関する事業を検討する。
(5)総会時特別講演会の開催
各社の商品開発や懸案事項解決など、会員各位の意識向上やさらなる知識の習得に資することを目的に、ユニバーサルデザインフードに関連する領域をテーマとして、医科、歯科、学術機関等の第一人者を招聘し、本会会員を対象に講演会を開催する。
本年度は第23回定期総会に日程をあわせ、東京医科大学病院 栄養管理科科長 宮澤靖氏に講師を依頼し介護食品業界として役立つ最新情報を提供いただく。
3.調査事業
ユニバーサルデザインフードの生産統計や認知度調査など、普及活動等への活用並びに会員への情報共有および対外的な説明資料とできるような調査について実施を検討する。今年度は以下の調査を実施する。
(1)生産統計調査の実施
平成15(2003)年度から開始したユニバーサルデザインフードの生産実績調査を本年度も引き続き実施する。
(2)その他ユニバーサルデザインフードに関する調査の実施
必要に応じてユニバーサルデザインフードの認知度や利用状況について調査を検討する。
4.組織強化事業
本事業は、日本介護食品協議会の存在ならびに、「ユニバーサルデザインフード」について、多くの関係企業に向けて積極的に情報伝達することにより、さらに会員企業を獲得し一層の組織強化を図ることを目的に設定した。
本事業は組織強化委員会が活動方針を立案・統括し、具体的事業については普及啓発、技術関連事業に包含させ実施する。
今年度は、昨年度に引き続き、介護食品業界における新規・更新情報についての精査(関係団体との情報交換)、並びに本会の活動方針等の確認・決定について、理事会とも連携しながら協議し、事業を行っていく。
5.その他の事業
関連する省庁に対して、介護食品に関する情報等の提供を行うなど、産業界として協力を行っていく。