演題:とろみ調整食品の物性測定法の検討(口演)
【目的】
とろみ調整食品は液状食品や飲料に添加して嚥下困難者が飲みやすくなるように粘度を付与する補助食品であり、とろみ調整食品の力学特性(以後、物性)を粘度によって評価することは妥当である。一方で、食感的に付着性が小さく、保形性(食塊形成性)が高いものほど飲みやすいとされ、「粘度値」が同じでも飲みやすさが異なる場合がある。本検討では、とろみ調整食品の物性測定法としてTPAの有用性を検討し、B型粘度計やリング法との相関を考察した。
【方法】
試料として、市販のとろみ調整食品を用いた。200ml容のビーカーに、予め20℃に調温したイオン交換水100gを量りとった。スパーテルで攪拌しながら試料を添加し、毎秒4回転で30秒間攪拌した。20℃で60分間静置し物性測定用試料とした。以下の方法により物性を評価した。
TPA | 厚労省の「高齢者用食品」に記載の方法に準じた。「かたさ」、「付着性」、「凝集性」を求めた。 |
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粘度 | 厚労省の「高齢者用食品」に記載の方法に準じた。 |
リング法 | 円柱状のリングに試料を充填し、リングを外した後の広がりを観察した。 |
動的粘弾性 | 周波数依存性(0.1−100rad/s)を測定した。 |
【結果】
特にキサンタンガムを主成分とするとろみ調整食品はゲル的な性状が強く、TPAの「かたさ」および「凝集性」は架台速度依存性が小さかった。「かたさ」は粘度と正の相関が、リング法とは負の相関があった。同一の試料を用いた場合、「かたさ」および「凝集性」は測定機関によらずほぼ同一の測定値が得られたが、粘度は若干の解離があった。
【考察】
とろみ調整食品の物性測定法としてTPAの有用性を明らかにした。汎用機器で測定できること、粘度やリング法などの従来法との相関が高いこと、測定の再現性が高いことなどの特徴があり、とろみ調整食品の品質管理目的で使用できると考えられる。